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静物画の中ににじむ人の温もりと気配独創のアートの世界の秘密
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―さっきまでそこに居た人の会話が聞こえてくるような温もり、懐かしさに癒されます
私の絵には、人物はほとんど登場しません。基本的に椅子やテーブルをモチーフにした静物画が多く、例えば2つの椅子が、ひとつは正面、もうひとつは少し外向きにズレて並んでいて、テーブルには蔓性の植物や花柄のクロスが掛けられている―。静物のディテールをしっかり描き込み、色合いや構図に細心の注意を払いながら「不在」を描くことで、実は私は、そこには居ない人の「存在感」を表現しようとしているのです。さっきまで椅子に腰掛けておしゃべりしていた2人が、恋人同士なの
か、中年夫婦なのか、あるいはのっぴきならない間柄なのか、いさかいを起こして中座したとこ
ろなのか…。2人のドラマというか、会話の中身まで感じていただければ、うれしいですね。
私の考えるアートって、描き手が熱いメッセージを発信するというより、むしろ観てくださる方それぞれの想像力や感性により、クスッと笑えたり、元気がわいたり、癒されたり…。絵の中の物語を皆さんに完成させてもらえればいいのかなと思っています。
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| 引越し十数回。旅人の目線で描く京都の日常が著書「偏愛京都」に結実 |
―観る側が自由に感じ取るアートですか
そうですね。私は幼い頃から絵を描くのが大好きで、暇さえあれば描いていました。
でも、どこかクールなところもあって…。「なぜかな?」と育った環境をたどってみると、父の仕
事で転勤族だったことが大きいと気づきました。これまで平均すると4年に1回は引っ越しているのですが、どんなに仲のいい友だちができても、どうせ別れてしまうという寂しさや、その土地にどっぷり浸れない、いつも旅をしているような感覚があります。でも逆に、旅人だからこそ好奇心旺盛に、新しい土地や新しい人との出会いをワクワク楽しめる面もあるんですよね。
最近、海外クルージングの絵画教室の講師を務めるようになり、文字通り「旅する画家」に。こ
れまでに約40ヵ国を歩いて、そこに住んでいる人にとっては見慣れた風景の、市場や看板やポストなどを見て面白がっています。今年2月出版した「偏愛京都」もそんな暮らしの中から生まれた本。大学在学中の数年間に築百年の京町家に住んだ4年間など、トータル16年も暮らした京都のあれこれを、旅人の目線と深い!?愛情で、文章とレトロなイラストにまとめました。 |
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| 大丸百貨店神戸店で11月3日から「マツモトヨーコ絵画展」を開催 |
―8月の札幌に続き11月は神戸で個展…装丁や挿絵でも大活躍。今後の目標は?
私は決して器用な人間ではなくて、ただ、自分が描きたいものをマイペ
ースに描き続けてきました。これからも普段の暮らしから、ふと忘れ去られてしまいそうな、幸せ
感とか懐かしさをすくい取り、前向きな感覚のアートに表現できれば。将来的には、いくつになって
も四季の移ろいなどを感じとれる心豊かな老人をめざしていますので、どうぞよろしく(笑)。
ふるさと豊中には、高校2年の春休みに札幌の高校から戻ってきました。高3で進路を京都市立芸大
に決め、駅前の画塾に毎日通ったことがいちばんの思い出です。いまは東京に住んでいますが、旅する画家の私、また大好きな関西に戻る日もあるかも…。神戸での個展、ぜひ観にいらしてくださいね! |
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文/渡部せつ子
写真/岸隆子 |
〈取材を終えて〉
装丁や挿画では、大橋巨泉、曽野綾子、秋元康、小林カツ代、大石静、吉行あぐり、阿久悠、鷺沢萌…とそうそうたる著者陣で、京都の美大では「ブックアート」の授業を担当中とか。京都好き同士、ほっこり楽しいひとときでした。 |
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「マツモトヨーコ絵画展」
大丸百貨店神戸店美術画廊にて
神戸市中央区明石町40番地.
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